環境とエネルギー安全保障

エネルギー安全保障における現実課題

皆さん、こんにちは、愛知治郎です。
今回は、「エネルギー」について、私の考えをお話したいと思います。

エネルギーの確保は、市民生活や経済活動といった国の基盤に関わっています。
持続可能な未来に向けて、責任の持てるエネルギーの安定供給は、いかなる事態であっても万全を期して確立しなければなりません。

私は自然エネルギーを促進するために、当時、環境庁長官だった父、愛知和男の秘書時代からこのテーマを勉強してきました。そして、平成13年の参議院初当選以来、国会では環境委員会に所属し、積極的に環境問題に取り組んできました。それだけに、自然エネルギーを取り巻く、現状、課題は十分に理解しているつもりです。

たとえば日本における風力発電の設置基数は2011年度末の調査で1870基あります。その風車が最高の状態で発電しても、日本の電力需要の0.4%ほどしか、まかなうことができません。

太陽光発電による電気にも、自宅等で使う電気を上回る量の発電をした際、その上回る分の電力を固定価格で電力会社に売ることができる制度を作り、推進していますが、現状は風力発電の何十分の1レベルの供給量でしかありません。

つまり、自然エネルギーの普及を推進してきたからこそ、自然エネルギーだけでは残念ながら現在の日本の電力需要のすべてをまかなうことができないという、現実の課題を認識しています。

では、日本のエネルギー安全保障と資源外交をどのように進めていくのが望ましいのか。このつづきを、次回お話ししたいと思います。

(第2回につづく)

シェールガス革命と日本の資源外交

皆さん、こんにちは。愛知治郎です。

前回、安価で安定した電力の確保は国の基盤であるだけに、今の状態ではエネルギー源を自然エネルギーだけに頼ることは、現実的にはむずかしいと、ここでお話しをしました。

しかし、将来を見据えて、太陽光や風力などの自然エネルギーの促進は今後もしっかりと続けていきます。現実の課題を認識しつつ、改善するために政策的な後押しを続けていくことで、再生可能エネルギーの拡大に取り組んでいきたいと考えています。

一方で、7月8日に原子力発電所の安全審査の新規制基準が施行され、北海道、関西、四国、九州の4電力会社が、5原発10基の再稼働に向けて、安全審査を原子力規制委員会に申請しました。原発の停止に伴い、代替の火力発電の追加燃料費は年間4兆円に上り、電気料金の値上げが家計や企業の負担を増加させているという影響は深刻です。

だからといって、原発再稼働の結論ありきで考えてはいけません。

安全審査の厳しいチェックをしっかりと受けて、慎重に検討した上で稼働するかどうかを慌てずに判断すべきです。その検討に、何年もの時間が掛かるとしても、安全対策基準を強化した上で、運転の可否を判断すべきだというのが、私の考え方です。

幸いにも、アメリカによるシェールガス革命によって、世界の、そして日本のエネルギー事情が大きく変わる可能性を秘めています。シェールガスの資源量は膨大であるため、化石燃料が枯渇する心配がなくなりました。ある調査によると、従来型の天然ガスの採掘可能量を、世界で1年間に使っている天然ガスの量で割ると、だいたい60年分が埋蔵されています。さらにシェールガスは、プラス100年以上は確実に採掘できるという試算がされています。

これまで、日本はヨーロッパなどにくらべ、天然ガスの調達コストが割高でした。それがアメリカからシェールガスを安く仕入れることが出来れば、日本の燃料調達コストが大幅に低くなる可能性があります。

世界のエネルギー事情は複雑に関わり合っています。アメリカ発のシェールガス革命の反動から、対アメリカ輸出を見込んでいた中東産天然ガスがヨーロッパ市場に流れ、これまでヨーロッパに輸出されていたロシア産天然ガスが、価格の安い中東産に対抗できずに販売先を失っています。そこで、ロシアのプーチン大統領は、先の日露首脳会談の共同声明に、日本、ロシア両国のエネルギー分野での協力を盛り込みました。天然ガスの販路として日本を模索しているためです。これも資源の少ない日本にとっては、安く燃料を調達できるチャンスです。

資源外交上ではシェールガス革命への大きな期待があります。一方で懸念される課題もあります。

次回はその点についてお話しします。

(第2回につづく)

温暖化を防止できる森林整備

皆さん、こんにちは。愛知治郎です。

第2回から暫く時間を頂いていただいてしまいましたが、環境とエネルギーについて、引き続きお話をさせてください。

シェールガス革命により化石燃料が今世紀中に尽きる心配がなくなったことは、エネルギーの安定的な供給においてはよいことです。しかし、地球温暖化の大きな原因になっているCO2の排出量は間違いなく増えます。このことは、国会議員として環境を専門としてきた私にとっては憂うべき、そして、立ち向かっていかなければならない現実です。温暖化は確実に進んでいるし、人類の生存を脅かす可能性が十分にある。深刻な問題であることに間違いはありません。

どうしたらいいでしょうか。確実にいえることは、CO2対策に関しては、パフォーマンスではない、実質的に有効な施策が必要だということです。

そこで考えられる現実的に実行可能な施策の一つは、森林等を整備してCO2の吸収源を拡充していくことです。皆さんは日本の森林に杉やヒノキが多いことをお気づきだと思います。これは戦後の政策で、日本本来の広葉樹の森林を伐採して杉などの針葉樹を植林したためです。

何故そのような政策をとったかというと、針葉樹は生育が早く、かつ高くまっすぐに伸びるので建築材に向いていたからです。空襲による家屋の焼失、戦後の人口急増により、家はいくらあっても足りない時代はそれでよかった。ところがその後、日本が猛スピードで経済成長したことで、円高となり、外国産の木材が安く流通したために、国内の杉林が価格競争力を失い、活用されずに放置されていきました。

実は杉林の放置は防災の面でも問題があります。杉の木の根っこというのは非常に浅いため、地盤がゆるくなってしまうのです。まったく整備していない杉林は雨が降るとその重みで、かえって土砂崩れをおこすそうです。地球温暖化に伴う環境変化により局地的な集中豪雨が起きると、杉林が崩れていく危険性があるのです。

その対応策として、安部政権の経済成長政策の一つである「金融緩和」で是正された今の円安を好機ととらえ、国産杉材を活用するようにどんどん伐採して、その後に日本に本来あった広葉樹林を復活させる。日本の風土に一番合った樹木を植え直すことで、森林をCO2と雨水の吸収源として整備することができるのです。自然災害を食い止める防災プランを通じて、日本の原風景を復活させることができれば、美しい日本を次世代に引き継ぐことができるとし、政府が進めている事前防災を重視した国土強靭化にも貢献できると、私は考えています。(おわり)