連載:環境とエネルギー安全保障

シェールガス革命と日本の資源外交

皆さん、こんにちは。愛知治郎です。

前回、安価で安定した電力の確保は国の基盤であるだけに、今の状態ではエネルギー源を自然エネルギーだけに頼ることは、現実的にはむずかしいと、ここでお話しをしました。

しかし、将来を見据えて、太陽光や風力などの自然エネルギーの促進は今後もしっかりと続けていきます。現実の課題を認識しつつ、改善するために政策的な後押しを続けていくことで、再生可能エネルギーの拡大に取り組んでいきたいと考えています。

一方で、7月8日に原子力発電所の安全審査の新規制基準が施行され、北海道、関西、四国、九州の4電力会社が、5原発10基の再稼働に向けて、安全審査を原子力規制委員会に申請しました。原発の停止に伴い、代替の火力発電の追加燃料費は年間4兆円に上り、電気料金の値上げが家計や企業の負担を増加させているという影響は深刻です。

だからといって、原発再稼働の結論ありきで考えてはいけません。

安全審査の厳しいチェックをしっかりと受けて、慎重に検討した上で稼働するかどうかを慌てずに判断すべきです。その検討に、何年もの時間が掛かるとしても、安全対策基準を強化した上で、運転の可否を判断すべきだというのが、私の考え方です。

幸いにも、アメリカによるシェールガス革命によって、世界の、そして日本のエネルギー事情が大きく変わる可能性を秘めています。シェールガスの資源量は膨大であるため、化石燃料が枯渇する心配がなくなりました。ある調査によると、従来型の天然ガスの採掘可能量を、世界で1年間に使っている天然ガスの量で割ると、だいたい60年分が埋蔵されています。さらにシェールガスは、プラス100年以上は確実に採掘できるという試算がされています。

これまで、日本はヨーロッパなどにくらべ、天然ガスの調達コストが割高でした。それがアメリカからシェールガスを安く仕入れることが出来れば、日本の燃料調達コストが大幅に低くなる可能性があります。

世界のエネルギー事情は複雑に関わり合っています。アメリカ発のシェールガス革命の反動から、対アメリカ輸出を見込んでいた中東産天然ガスがヨーロッパ市場に流れ、これまでヨーロッパに輸出されていたロシア産天然ガスが、価格の安い中東産に対抗できずに販売先を失っています。そこで、ロシアのプーチン大統領は、先の日露首脳会談の共同声明に、日本、ロシア両国のエネルギー分野での協力を盛り込みました。天然ガスの販路として日本を模索しているためです。これも資源の少ない日本にとっては、安く燃料を調達できるチャンスです。

資源外交上ではシェールガス革命への大きな期待があります。一方で懸念される課題もあります。

次回はその点についてお話しします。

(第2回につづく)

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